もうひとつの、過去。

15年以上前。
もうひとり、
わたしのことを好きだと言ってくれる人がいて。

それは、冗談のような告白。
彼と、もうひとり。
友だち同士のふたりが、
わたしのことを想ってくれた。

はじめは、もうひとりの人が好きだったのに。
その人が彼を推して。
「ああ、この人はわたしのことを何とも想っていないんだ」
そう思ったときに、諦めたの。

彼から告白されて、
その後に、もうひとりからも気持ちを告げられた。
そのときは、もう遅かった。

そんな過去。

そして。
またもや15年以上ぶりに。
もうひとりとも会った。

彼とのやりとりを始めた頃に、
メールがきたんだ。

当時のエピソードをたくさん覚えていて。
忘れていた記憶が蘇る。
わたしは、
ふたりにひどいことをしていたんだ。

淡い記憶になっていたけれど、
現実はそうじゃなくて。
ふたりの人を、深く傷つけていることを知った。
そして、
とてもわたしをすきでいてくれたことが、わかった。

当時の自分がどうだったかなんて、覚えていなくて。
他人のハナシを聞いているようだった。
あのときの感覚は、もうない。
けれど、なんとなく奥底には眠っているのかな。

あの頃の、いいところ。
悪いところ。
全部、今に活かせればいい。

話しているうちに、
すごく彼に会いたくなった。

中途半端な気持ちじゃなくて。
ちゃんと、
もう一度、
彼に謝らなくてはいけないと思った。

それくらい
わたしは彼を傷つけていて。
彼とのことが少しトラウマになっているわたしより、
彼のほうが、ずっとずっとトラウマになっているようだった。

「きみとのことは、彼の中でかなりでかいよ」
と、もうひとりに言われた。
もうひとりの人も、わたしとの出会いは大きかったと言っていた。

だれかに影響を及ぼす存在だと、
自分で思ったことがなかったから。
とても響いたんだ。

そして、なんでも中途半端で。
ひとりで舞い上がったりしている自分を
深く反省したの。

ちゃんと、
向き合わないとダメなんだ。
やり残したことを、
どんどん消化できているような気がする2009年。

彼に、
とにかく
連絡をしようと誓った。


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小さな、勇気。

わたしは、あまり自分から動くほうではなくて。
だけど、
なにかまたつながりたくて。

15年以上前のことを謝って。
「機会がありましたら、呑みに行ったりしましょう」
そんな文章を、添えた。

彼から、すぐに返信。
「あのときのことが、重荷になっていませんように」
そして
「じゃあ、週末あたりに呑みに行かない?」
とのこと。

急な展開に驚いて。
でも、
少し、期待していたのだと思う。
また会えることを。
話を詰めてくれることを。

最初は、軽く呑むという話。
だったのだけど、
お互いが、1日空いているという話になって。
お昼頃から待ち合わせをすることになって。

当日、
駅で待ち合わせをして、公園を歩く。
冬の時間は短くて。
夕暮れの肌寒い公園を散歩。
高校を出て、どんな進路だったのか とか。
他愛もない話をしながら、歩く。歩く。

日も落ちたところで、お店へ入る。
お酒をかたむける。
彼は、タバコを吸う。
小さなことが、新鮮だった。
学生時代にはなかった光景。

なんだか、ずっと不思議で
「先週のわたしには考えられない状況です」
と言ってしまう。

彼は
「誘ったのは、アナタでしょ!」
と笑う。

…そうか。
あれは、誘ったことになるんだな〜…と、ぼんやり思ったりして。
やっぱり、自分からそうしたいほど、なにか会いたい気持ちがあったのだ。

ふと、会話が途切れる。
彼は、まっすぐわたしを見る。
その視線に、
目を合わせるのが恥ずかしくて。
ずっと下を向いてしまう。

15年以上前、わたしをすきだと言ってくれた人。
もう、そんな感情もお互いなかったのだけれど。
会ってしまうと、照れてしまう。
学生時代の気分になってしまうのかな。

そして、なんとなく話は「恋愛」の方向へ。

わたしは、
あれから
すきだと言ってくれる人もいたし、すきな人もできたけれど、
全部成就しなかった。
彼は、
好きな子ができても彼氏がいたり、うまくいかなかった。
そう、言っていた。
お互い、このままじゃひとりだねって笑って。

15年以上空いた空間が埋まるのか、
会話が続くのか、
全部が不思議で不安だったけれど。
お店を出た後も、また別の店へ移ったりで。
結局、終電まで話をしていた。

そして
「また連絡するね」
と、改札で別れる。

ずっとあった、胸のつかえが取れた気がする。
そんな1日。

深夜に、彼からメール。
秋のあの日の再会から、
毎日のようにメールをくれる。

返信をすることが
イヤじゃないわたしがいる。

とりあえず今は、
この緩やかな関係が
続いていくといいなと思ってしまうのです。

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過去と、向き合う。

遠い記憶が、よみがえる。

会うこともなく。
もちろん、連絡もとっていなかったのに。

今年の夏。
一通のメールが届く。
それは、高校のときのひとつ上の先輩から。
ずっと音信不通だったわたしを偶然見つけてくれて、
メールをくれたの。

年に数回、今でも集まりがあるそうで。
そこへ誘ってくれて。
夏の暑い日に参加をした。
もしかして、会ってしまったらどうしよう…と思っていたけれど、
そのときには参加していなくて、
なんだかほっとしたんだ。

そして、
秋のある日。
また集まりのお知らせメールが届く。

油断してたの。

すぐに「参加します」と返信して。
後で、送られてきた参加メンバーの名前を見ると
彼の名前。

過去の記憶が、よみがえる。
断片的だけれど。
彼を傷つけてしまったのは事実だと思って。

その日にちまで、
どうしよう。
どうしよう。
そればかり、考えたの。

あれから15年以上も経っているのだし、
普通の顔をして会えばいいのだけれど。
あまりにも時間が経ちすぎて、
どうしていいのかわからなくなった。

当日。
待ち合わせのカフェに、
彼はいたんだ。

ドキリとした。

なんだか、わからない感情。
そこからは、頭が真っ白で。
何をしゃべったかなんて、覚えていない。
ううん。
ほとんど、喋らなかった。

近くにいたけれど、
会話はほとんどなかったの。

そして、解散。

このまま、終わりなのかな。
せっかく、会えたのになって。
気になって。
謝りたくて。

わたしは、
自分から
メールをしたんだ。

今思うと、
その決断がどうしてできたかなんて
わからない。

何度も文章を読み返して。

勇気を出して
送信ボタンを押した。

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遠い記憶。

高校1年生だったわたし。

はじめて、
告白というものをされた。

ふたつ上の先輩。
まったく意識していなくて。
ただただ、びっくりして。

「つきあう」ことに興味があったし
うなずいた。

近くに出かけたり。
一緒に帰ったりしたけれど。

でも。
その先が目の前に近づいてきたら、
なんだか、急にこわくなって
逃げ出して。
避けて。
避けて。

それきり、会うことはなかったの。

嫌いなわけじゃなかった。
けれど、先に進むことが怖かった。

歳を重ねれば、わかっていくことが。
わたしには、まだわからなくて。
幼くて。

そこから、罪悪感が残って。
どの恋愛に対しても、脳をかすめた。
やっぱり一歩が踏み出せないまま。

そんな、まったく成長しないわたし。
恋愛をかすめても、深く入れないわたし。

ここは、意識はしていないけれど、
きっと、トラウマだったのだろうと思う。

そんな、遠い記憶。

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終われた恋。

また、ずいぶんと日にちが経っていました。

「告白」をした後、
ずいぶんと待つことになって。

春。
共通の友人の結婚式に参加して。
その何日か後に会うことに。

昼の待ち合わせ。
喫茶店でお互いの経緯を話す。
そして、
「わからなくなってきた」
と言ったきみ。
お店を出て、歩く。

ひと駅歩いて、駅に着いたときに
そのまま、さよならをしようとして。

曖昧なその態度に、
ふと
どうでもよくなってしまったわたしがいたの。

曖昧にしたきみに
幻滅したんだ。

引き止めて、
ちゃんと言わせて。

「友だちとしか、見られない」

うん。
ちゃんと、はっきりした返事が欲しかった。

取り残された駅の改札で。
泣くもんかと、唇をかんだ。
心配した友が連絡をくれていた。

お酒を呑んで
ようやくひとりになれたとき、
やっと泣いたんだ。

ずっとずっと
もやもやしていた
わたしの恋。

結果はうまくいかなかったけれど、
満足。

きみは、きみで。
しあわせになってほしい。
わたしは、わたしで。
しあわせになるから。

でも、まだやっぱり
友だちとしてでも
会えないや。

そんな、2009年の初夏。

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